第481回定期公演フィルハーモニー・シリーズ
親密に、キラめく。「劇」から生まれた名曲たち
マキシムのセンス良すぎる凱旋
- TEXT / 渡辺和(音楽ジャーナリスト)
コロナ禍の直前、若きフランス人マキシム・パスカルが披露したベートーヴェン交響曲第2番は、OEKで進行中だったミンコフスキのチクルスとはまるで別の衝撃を巻き起こした。あれから4年、学生時代に結成した21世紀型演奏集団「ル・バルコン」での活動を中心に、フィルハーモニー・ド・パリやザルツブルク音楽祭の常連となった青年指揮者は、去る夏にはウィーンフィルを指揮したオペラが絶賛されるに至る。
満を持しての金沢凱旋は、初登場とはちょっと異なるフランス的なセンスの良さで埋まる。まずは20世紀の世界を旅し無数の音楽を書き続けた元祖多様性の作曲家、南仏人ダリウス・ミヨーの人気作でご挨拶。外交官秘書として過ごしたブラジルで耳にした音楽を詰め込んだ《スカラムーシュ》は、様々な編成で演奏される人気曲。本日はOEKのクラリネット名手とノリノリのリズムが炸裂する。あまり声楽曲のイメージはないベルリオーズだが、史上初の成功したオーケストラ歌曲集《夏の夜》は一度聴けば忘れられぬ傑作。フランス語が判らなくても、管弦楽の刻みに舞うメゾソプラノの元祖シャンソンに打ち震えること必至。
ドイツ音楽は無骨と思うかも知れないが、才人リヒャルト・シュトラウスがフランス人モリエールの戯曲「町人貴族」に付した伴奏は、室内楽のように透明な響きに独奏楽器も舞う20世紀の擬似バロック。センスの良さの極みのような音楽を、パスカルは小粋に処理してくれよう。
6/20
[木]
19:00開演開演(18:00開場)
コンサートホール
第481回定期公演フィルハーモニー・シリーズ
親密に、キラめく。「劇」から生まれた名曲たち
親密に、キラめく。「劇」から生まれた名曲たち
○指揮:マキシム・パスカル
○クラリネット:遠藤文江(OEK楽団員) ○メゾソプラノ:池田香織
ミヨー/スカラムーシュ ベルリオーズ/夏の夜
R.シュトラウス/組曲「町人貴族」
【全席指定】 SS席 6,000円/S席 5,000円/A席 4,000円/B席 3,000円/スターライト席 1,000円