CLOSE-UP PEOPLE 笛田博昭 インタビュー
まずは僕たちの声の「響きのシャワー」を浴びに来てほしい

――5月のガルガンチュア音楽祭ではオープニングコンサートや紅白歌合戦など数多くの公演にご出演いただきました。
音楽祭やほかの公演も含め、音楽堂コンサートホールでは何度も歌ってきました。お客様が入ったほうが、声が綺麗に響く感じがしますね。今回はタイプの違う2人のテノールがピアノをバックにカンツォーネとオペラアリアを歌います。
――共演する秋川雅史さん、河原忠之さんについて
最初は地元の新潟でコンサートをする際に、一緒にやってみたくて僕からお願いをしたんです。共演して実感しましたが、本当に素晴らしいエンターテイナーなんですよ。舞台に立って自分をどうみせたいかよくわかってらっしゃる方。僕とはまったく違うタイプのテノール歌手でとても刺激を受けました。
ピアノの河原忠之さんは歌い手にこうスーッとこう寄り添ってくれる方。呼吸を合わせてくれるのはもちろん、打ち合わせをしなくても「どう歌いたいのか」を汲み取ってくれるんですよ。本当に歌手にとって代えがたい、素晴らしい音楽性を持ったピアニストです。
――今回のプログラムはどう選曲されたのでしょう
お互いに歌いたいものを選びました。カンツォーネ・メドレーとして「フニクリフニクラ」や「オーソレミオ」など皆さんがよく知っている曲も演奏しますが、《運命の力》や「情熱」などはコアなクラシックファンじゃないと聴き馴染みのない作品かもしれない。でもね、この公演ってチャレンジしやすい価格だから聴いたことがない、難しそうだと思ったとしても、まずは僕たちの声の「響きのシャワー」を浴びに来てほしいなって思います。
――音楽祭でも本当に声がホールに響き渡っていましたよね。本場イタリアの香りがするというか…。
そう思ってくださったというのはね、僕の声って「立体的」なのかもしれない。単に大声を張り上げているわけじゃなく、マイクを通さずに体全体を使って出した声がホールに共鳴するっていうこと。人間ってすごい声を出せるんだって体験してほしいのです。
あとは周りから見て、僕は発天荒な感じの生き方をしているそうなのだけど(笑)、それが表現として出ているのかな――生き様というか人間性が出ているんだと思います。良い声な方はたくさんいるけど、それだけだときっと飽きられちゃう。意図せず滲み出るものがあるからこそ「立体的」になるわけで、海外の歌手はそういう力に長けている。本場の香りがするのはそのおかげかもしれません。ぜひ体感しに来てください!
イタリアンカンツォーネ&オペラアリアの世界
出演者
笛田博昭、秋川雅史(テノール)
河原忠之(ピアノ)
演奏曲目
タリアフェッリ:情熱
カンディッロ:カタリ・カタリ
ヴェルディ:歌劇《運命の力》より〈天使のようなレオノーラ〉 ほか