“破格の天才”バボラークを聴く愉悦に浸る
- TEXT / 戸部亮/音楽評論家
2席あるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のホルン首席。歴代伝説的ホルン奏者が座ってきた椅子だ。一つは「ホルンの王」シュテファン・ドールが君臨する。一方椅子のうちひと席は長らく空位が続いた。「王」ゆえに当然匹敵するもう一人はなかなか出現しなかった。しかし10歳代から破格の天才と言われ「ホルンの神童」と称されたラデク・バボラークがあっという間にその座を射止めたのは周知の事実。吹奏楽関係者にとってはすでにスター奏者だったバボラークがドールと二枚看板でスーパー・エリート・オーケストラをけん引していくと誰もが期待していた。
しかし飛びぬけた才能を持つ楽器奏者たちは一般人と感覚が違う。ある時、安住ポストを捨て、しばしば指揮者に転身していく。自身が先天的に獲得している音楽性と指揮台に迎えている指揮者、二つの才能が対峙した時に自信の音楽性の高さが客観視されるのか。その結果、自分の才能を優先した音楽をしたいと思ってしまうのだろう。
こうして我々は世界的な楽器奏者を一人失う。バボラークの場合もそうなることを危惧したが、そうはならなかったのはありがたい。二人の天才ホルン奏者をベルリン・フィルで聴き比べる愉悦は失われたが、指揮する際は大抵吹き振りがセットになるのがお決まり。バボラークのホルンを聴く機会がずっと維持されているのはありがたい。天才ホルン奏者を聴く愉悦は維持されている。
ゆえに、当然のことながらモーツァルト「ホルン協奏曲第3番」が聴きものだ。バボラークのホルンを体験すると、「こんなに吹けるなんて!」と思い、ホルン奏者―というよりバボラーク―に憧れるか、絶対にこんなに巧くなって吹けないと思ってプロの演奏家を諦めるかの二択となる「危険性」はあるが、芸術とはリスクや一種の危うさがあるからこそ、魅力あるものとなる。それを楽しもう。もちろん彼が指揮するドヴォルザーク「チェコ組曲」とともに。

指揮・ホルン:ラデク・バボラーク*
バボラーク・アンサンブル**
モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲 K.527
モーツァルト/セレナード 第6番 ニ長調 K.239「セレナータ・ノットゥルナ」**
モーツァルト/ホルン協奏曲 第3番 変ホ長調 K.447*
ドヴォルザーク/チェコ組曲 ニ長調 op.39
25歳以下当日券50%オフ(要証明書類)
未就学児入場不可
・OEK定期会員先行販売:2025年7月20日(日)10時~8月10日(日)18時まで
・一般発売日:2025年8月20日(水) 10:00(予定)
・公演予定時間: 約120分
指揮・ホルン:ラデク・バボラーク*
バボラーク・アンサンブル**
モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲 K.527
モーツァルト/セレナード 第6番 ニ長調 K.239「セレナータ・ノットゥルナ」**
モーツァルト/ホルン協奏曲 第3番 変ホ長調 K.447*
ドヴォルザーク/チェコ組曲 ニ長調 op.39
25歳以下当日券50%オフ(要証明書類)
未就学児入場不可
・OEK定期会員先行販売:2025年7月20日(日)10時~8月10日(日)18時まで
・一般発売日:2025年8月20日(水) 10:00(予定)
・公演予定時間: 約120分