“哲学的求道者”メルニコフ、OEKと聴衆に「感興」を与えられるか
- TEXT / 戸部亮/音楽評論家
2025年はショスタコーヴィチ没後50年。ショスタコーヴィチと言えば、かつては「交響曲第5番」ばかりが取り上げられていた状況だったのが様変わり。弦楽四重奏曲やピアノ三重奏、ピアノ五重奏といった室内楽、ピアノ曲、映画音楽等々といった交響曲以外を通じて、作曲家の貌が浮かび上がってきた。
今回、アンサンブル金沢に登場するアレクサンドル・メルニコフも一役買う。すでに録音をして世界中で評判となった、全曲演奏するに2時間半はかかるショスタコーヴィチ「24の前奏曲とフーガ」をリサイタルで取り上げ、群馬交響楽団ではショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲全曲を弾くなど作曲家の何面もある貌の一面を示してきた。
日本ではアレクサンドル・メルニコフはどうしても室内楽、名弦楽器奏者の伴奏者としてのイメージが先行した。イザベル・ファウスト、ジャン=ギアン・ケラスと組んでリサイタルを各地で行い、彼らとの録音は現代を代表する演奏という評価をジャーナリズム界から得てきた。伴奏も評価されていたが、ようやくメルニコフ個人の異能の才に注目があたってきた。
ではアレクサンドル・メルニコフ、何が面白いか。彼のピアノを聴くとこちら側も鑑賞中に思索を始めてしまうところだ。思索中、メルニコフのテクニックについて云々考えることはあまりない。メルニコフのピアノはそういうタイプのピアノではない。それよりなぜこのプログラミングにしたか、どのような観点で今日のピアノを選んだか、聴いているうちに聴く側に湧き上がるイマジネーション、発見、疑問についてどうしてそう思うのかを考えるきっかけを与える。
感受してから、我々は彼のピアノを堪能して意識を高めながら考察する。そして曲や演奏会の終わりころになって、「ああ、だからあの箇所でメルニコフは普段聴き慣れない弾き方をしたんだ」という発見反応をもたらす。
そう、メルニコフは哲学的求道者なのだ。今回求道者に吉崎理乃が真正面から向き合って、OEKと聴き手に感受から感興への反応を起こすことができるか、それが最大の聴きどころであると言えよう。もちろんイエルーン・ベルワルツのハイドン「トランペット協奏曲」も当然注目である。



指揮:吉崎理乃(東京国際指揮者コンクール2024第3位)
ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ*
トランペット:イエルーン・ベルワルツ**
ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 op.35*
ハイドン/トランペット協奏曲 変ホ長調 Ⅶe:1**
ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲 第2番 ヘ長調 op.102*
25歳以下当日券50%オフ(要証明書類)
未就学児入場不可
・OEK定期会員先行販売:2025年7月20日(日)10時~8月10日(日)18時まで
・一般発売日:2025年8月20日(水) 10:00(予定)
・公演予定時間: 約120分
指揮:吉崎理乃(東京国際指揮者コンクール2024第3位)
ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ*
トランペット:イエルーン・ベルワルツ**
ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 op.35*
ハイドン/トランペット協奏曲 変ホ長調 Ⅶe:1**
ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲 第2番 ヘ長調 op.102*
25歳以下当日券50%オフ(要証明書類)
未就学児入場不可
・OEK定期会員先行販売:2025年7月20日(日)10時~8月10日(日)18時まで
・一般発売日:2025年8月20日(水) 10:00(予定)
・公演予定時間: 約120分