多彩な実力派4人のソリストから紡がれる彩なる響きの世界
- TEXT / 寺西肇(音楽ジャーナリスト)
2024/25年のマイスター・シリーズを締め括るステージには、OEKパーマネント・コンダクターの川瀬賢太郎が登場。OEKにとっては初のマーラー作品となる「交響曲第4番」と、モーツァルトの可憐な佳品「フルートとハープのための協奏曲」を披露する。マーラーの最終楽章で登場するソプラノには、種谷典子。モーツァルトでは、フルートのマトヴェイ・デミン、ハープの高野麗音と、今がまさに“旬”の豪華なソリスト陣を迎えて、彩なる響きの世界が紡がれる。
マーラーが40歳となった1900年に一応の完成を見た「交響曲第4番」。しかし、軸となる最終楽章だけは、管弦楽伴奏付きの歌曲として、1893年に既に初演されていた。巨大な編成と長大さが特徴のマーラーの交響曲の中にあって、当曲は比較的にコンパクト。生きる幸せを大らかに歓んだかと思えば、スコルダトゥーラ(変則調弦)のヴァイオリンが死神のメロディを奏で、その後には透明で静謐な瞑想が続いて、最後に夢見るような「天上の生活」が謳い上げられる――。ソプラノの種谷は、イタリアに学び、多くのオペラ公演で次々に大役を演じて話題の若手注目株。川瀬のしなやかで繊細な音楽創りとの出逢いで、どんな“化学反応”が起きるのか。
これに先立って披露されるのは、22歳のモーツァルトが、フルートとハープ、各々の楽器を能くした侯爵とその令嬢のため、滞在先のパリで書いた協奏曲。2つの楽器の特性を完璧に把握した上で、魅力的で瑞々しい楽想を次々に繰り出すあたり、まさに天才作曲家の面目躍如と言えよう。今回、フルート独奏を務めるデミンは、ロシア出身。2019年にはチャイコフスキー・ コンクールの木管楽器部門で、フルート奏者として史上初の第1位に。現在は南西ドイツ放送交響楽団の首席フルート奏者の任にある。一方、ハープの高野は2008年にパリ国際ハープコンクールで最高位を獲得し、多彩な活躍を続ける実力派。川瀬と2人の名手が織り上げる、優雅な響きの世界に身を委ねたい。
OEK初となるマーラーの交響曲を川瀬賢太郎が指揮!
〇川瀬賢太郎(OEKパーマネント・コンダクター)
〇ソプラノ:種谷典子
〇フルート:マトヴェイ・デミン
〇ハープ:高野麗音
モーツァルト/フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K. 299
マーラー/交響曲 第4番 ト長調
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