ステージアートの世界
with オーケストラ・アンサンブル金沢

光というタイトルについて

この作品をつくり始めた時に「光ってどういうものなんだろう」ってまず考えました。その時に、光って当ててもらうものだなと思ったんですね――自分が輝けるということは、ほかの人に光を当ててもらっているからだし、逆に自分がその人を輝かせることもできる。そう考えていくと、人が生まれた瞬間からご両親だとか周りの人たちから光を当てられているし、舞台に上がる子どもたちも照明さんがいないと光が当たりませんよね。そして、これは飛躍しすぎなのかもしれないけど、光っていうのは引き継がれていくもの、道しるべを示してくれるものなんじゃないか……そういう発想からはじまりました。

あとはいろんな種類の光がある。例えば蛍ぐらいの微量の光が集まったものだったり、乱反射してる光、若い人たちから出るピュアな光とか……舞台は光だから照明に比重がかかる作品になるかもしれませんね。それぞれの光を７つくらいの作品で構成していて、K-BALLETの山本さんと岩井さんをはじめとして、石川県のバレエを習っている子どもたちが踊ります。振付を考えるうえで、ステップの難しさや速さを考えなきゃいけませんが、子どもが踊るから、と思って振り付けていません。ですから子どもたちが踊る作品、結構難しいと思います。できるようになるまでに時間はかかるかもしれないけど、プッシュすればするほど応えてくれるんじゃないかと思ったからですが、指導してくださる先生方が助けてくださっているので、ものすごいスムーズに進んでいます。

新しく作品を創り出すということ

先日、東京で山本さんと岩井さんに振付けてきました。山本さんは同じ石川県出身ですが、実際にお会いしたのは初めて。次に会うのは公演直前のリハーサルということになります。全体的にどんな作品になるのか――今少しずつ見え始めてきているくらいですね。もちろん振付は全部終わっていますけど、振り付けて終わりじゃない、最後までわからないものなんだって気づいてきたんです。僕が今まで思っていたのは、鉛筆で絵を描いただけで、そこに色を加えたりすることをしていなかったんです。例えば衣装、照明もあって、12月に実際にそれをみたときに自分がどう思うか。必要だと思えば変えなきゃいけないだろうなって。

これは色んなプロフェッショナルの人達と仕事をしてきた中で何年か前から見えてきたんですね。衣装ひとつとっても、デザイナーさんもそのキャラクターの性格をわかりやすく伝えたいって想像する。自分だけだと自分の考えの範疇で終わってしまうから、人に話して委ねることによって、光が屈折するように変わって返ってきたりするほうが面白い。舞台はいろんな要素が積み重なっていくから、ものを創るっていうのはまさにいろんな光の集合体って感じがします。