ファリャ《恋は魔術師》プレイベント
中村壱太郎×松井慶太スペシャルトーク
2024年に金沢で初演された萬斎のおもちゃ箱 Vol.2「ファリャ《恋は魔術師》」がバージョンアップして帰ってくる!今年12月に行われた大阪・堺公演を皮切りに、3月は金沢・新潟・東京・郡山・名古屋を巡る全国ツアーを敢行。今回は堺公演を目前に控えた10/31に会場のフェニーチェ堺にて行われたプレイベント、振付を務めた中村壱太郎(歌舞伎俳優)と松井慶太(指揮・OEKパーマネント・コンダクター)のスペシャルトークの模様を少しだけお届けしよう。

松井 ファリャはスペインを代表する作曲家の一人で、彼はアンダルシア地方にあるカディスという町で生まれたんですが、その近くにへレス・デ・ラ・フロンテーラというフラメンコ発祥の地があったりして。《恋は魔術師》はフラメンコのリズムがたくさん出てきます。
中村 このお話はヒロインのカンデーラが夫を亡くした後、新しい男性と恋をしているところから始まります。萬斎さんは「その夫がかなりの浮気者でいろんな女性に手を出した末に死んでしまった」というのを「序奏と情景」という一曲27秒で見せたい、とおっしゃったんですよね。注目ポイントです。
松井 そして話が始まっていきますが——まず「愛の悩みの歌」を聞いてみましょう。この「1・2・3/1・2・3/1・2/1・2/1・2」というのがフラメンコのテンポ。
中村 この拍子がなかなか取れなかったです。ただ、このテンポを6拍子にとれる気がして、12になるんだって思いついて…!
松井 素晴らしい!6+6=12ですからね。「魔法の輪」という曲に続いて……おまじないをするんですよね。この発想が日本の感覚に近いというか。
中村 「魔法の輪」から一気に曲調が変わって静かな夜が訪れますね。そして「真夜中」になる。松井さんがいまおっしゃったおまじないの儀式。日本では安倍晴明が結界を張ったりしますが、そのようなイメージで私がつくらせていただきました。
松井 そして「火祭りの踊り」。この曲は、キャンプファイヤーの曲です。火を囲んで踊っている。
中村 歌舞伎でも小道具として使うさらしを使いました。赤いさらしを使って火に見立てて…。初演は男性と女性の舞踊家が3人ずつでしたが今回は5人ずつ、合わせて10人でダイナミックに踊る場面です。
松井 「火祭りの踊り」でクライマックスというかひと段落して、「きつね火の歌」になります。祭りの後のような雰囲気の中かかるカッコいい曲です。
中村 最初聴いた時、亡くした夫と新しい男性との間で悩んでいる曲に思えたんですが、キーポイントは狐かなと。歌舞伎でも狐は化けてでたりしますが、その化かすというのを女性の思いの裏表に見立てて踊りで表現しました。
松井 そして「無言劇」という曲に続いていく。パントマイムですね。もともとこの作品はバレエ音楽になる前に劇音楽だったのでその名残。そして「愛の戯れの踊り」に入って「終曲」で終わり。あっという間ですね。
中村 初演と違う点を申し上げると、今回新たに手拍子だけで表現したいシーンがあるんです。まさにフラメンコです!
松井 手拍子があれば勝手に踊りが始まりますね。それはフラメンコ自体がリズムから始まっている音楽だからだと思います。リズムと踊りがあって、そこに歌が最後入ったような気がしますね。
中村 今回の振付は花柳源九郎さんというパートナーを得てつくり込んでいったんですが、なんで自分は出演しないんだろう!と思うくらい面白い舞台になっています。今回工藤朋子さんというフラメンコ舞踊家の方に出ていただいて、日本舞踊を踊っていただくけどフラメンコの動きも残す…という新たな挑戦もあるんですね。萬斎さんとも松井さんとも話をしながらつくってまいりましたので、ぜひご覧になっていただきたいです。
