石川県立音楽堂
オーケストラアンサンブル金沢

クラシックを聴いて創作 自分が読みたい物語を求めて

漫画家・木原敏江
  • TEXT / 本江亜珠佳

 金沢といえば、若い頃に読んだ井上靖さんのエッセイで、犀川について「独時な川波のきらめきを持った川」と表現した一文が心に残り、ずっと来てみたいと思っていました。井上靖さんは旧制四高のご出身で、学生時代を金沢で過ごしたんですね。しばらくして念願かなって金沢を旅し、犀川のほとりのお店でゴリや治部煮をいただきました。

 40代の頃には着物に凝って、外出はほとんど着物でした。加賀友禅も好きで、よく着ましたね。生地についた糊や余分な染料を川で流す「友禅流し」の風情ある光景を一度は見てみたかったです。

和菓子村上「わり氷」。キューブ型の箱にプレーンの25gの個包装が4袋封入。箱には金沢ならではの加賀手毬が描かれています。

 今回いただいた和菓子「わり氷」はきれいでやさしいお味です。つい、もう一個と手が伸びます。金沢は茶道が盛んで、和菓子も凝っていますね。「金沢」という文字が醸し出す雰囲気からしてクラシックで惹かれます。

 音楽堂の公演では、私の作品に合わせてさまざまなクラシック曲をご提案させていただきました。青島広志先生に曲をつけていただいた「さんさん桜」(「桜の森の桜の闇」より)は、とてもドラマチックでした。

木原敏江先生が出演された青島広志先生との「少女漫画交響詩Ⅳ」の公演風景(2026年1月12日)

 音楽は古いシャンソンやロックも好きですが、クラシックが一番飽きません。締め切り間際の修羅場はモーツァルトの交響曲第40番を聴いて乗り切りました。もう後がない、断崖絶壁の時です。「摩利と新吾」ではベートーヴェンのテンペスト、「白妖の娘」ではブルックナーの交響曲第7番をかけていました。音楽があると情感が膨らむんです。でも甘いショパンやロマンチックなラフマニノフでは描けなかったですね。

木原敏江先生が出演された青島広志先生との「少女漫画交響詩Ⅳ」の公演風景(2026年1月12日)

 最近の流行の曲はほとんど聴きません。歌詞が直接話法ばかりで、想像力を広げる余白がないように思えてしまって。

 少女漫画もそうです。実は「白妖の娘」を最後に、漫画を描くのは辞めるつもりでした。これで気が済んだと思い、ほかの方の作品を読んでいました。でも最近は少女漫画でも転生ものが流行していますでしょう。すごく直接的な話で、想像力が刺激されません。

「自分が読みたい物語は、自分で書けばいい」と思い、描いたのが「ミーガンとD卿」です。発表するつもりはなかったのですが、ノートに鉛筆描きで200ページほどできてしまって、別の用件で連絡のあった小学館の編集長に話したら、とんとんと話が進み、連載が始まりました。みんな最初は自分のために作品を描きますよね。原点に戻ったような気持ちで楽しく書いているのが、読者の皆さまにも伝わるのではないでしょうか。

PROFILE
木原敏江

1969 年、『別冊マーガレット』(集英社)掲載「こっちを向いてママ!」でデビュー。華麗で端麗な筆致で、ロマンチック・コメディーから歴史大河、幻想ロマンまで描き出す幅広い作風が絶大な人気を博す。代表作に「摩利と新吾」「アンジェリク」「天まで上がれ!」「夢の碑」で第30 回小学館漫画賞受賞。1997 年「雨月物語」で文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。2017 年、その画業をまとめた『総特集 木原敏江~エレガンスの女王~』(河出書房新社)刊行。その不朽の名作の数々は、今なお新たなファンを獲得している。現在、増刊フラワーズ(小学館)にて「ミーガンとD 卿」を連載中。

【公式】木原敏江Official

SHOP INFO
和菓子村上 金沢百番街店

石川県金沢市木ノ新保町1-1
金沢百番街あんと
TEL: 076-260-3761
営業時間 : 8:30~20:00
定休日 : 不定休

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