「人形浄瑠璃 文楽の楽しみ」プレ講座レポート
- TEXT / 本江亜珠佳
10/9の文楽公演を前に、音楽堂邦楽主幹・村上湛によるプレ講座が9/10に開催されました。
写真や音源を使いながら人形浄瑠璃の芸の本質に迫る内容で、
今回は10/9の演目の解説をお届けします。
当日までに予習・復習をしておきましょう。
「文楽」とは、太夫の語りと三味線の演奏、人形遣いの三業が一体となった人形浄瑠璃の芸で、多くの名作が受け継がれてきました。
昼の部の演目は「時代物」の大作「絵本太功記」。本能寺で主君の小田春長(織田信長)を討った武智光秀(明智光秀)が、謀反を決意してから命を落とすまでを、全十三段で刻一刻と描きます。尼ケ崎の段では、主君を殺す不義を働いた息子を許せぬ母が、自ら犠牲となり、光秀に母殺しの罪を着せて死んでいくのです。光秀の苦悩と砂をかむようなやるせない思いがにじみます。時代設定や人物の名が史実と異なるのは、時代物の特徴です。
夜の部の「近頃河原の達引」は、日常生活を映した「世話物」と呼ばれるジャンルです。盲目の老母と暮らし、大道芸「猿廻し」で生計を立てる与次郎。妹は祇園の遊女です。妹が心中へ向かうと悟りながら、兄の歌うにぎやかな猿歌に、家族愛と悲しみが漂います。音楽的な趣向を凝らした素晴らしい段となっています。
かつて人形浄瑠璃は、時代物が全段通して上演され、世話物が添えられました。現代の皆さまは両方を味わうもよし、どちらか一方だけでも十分に文楽の魅力に触れることができるでしょう。

10/9
[水]
昼の部 14:00/夜の部 18:30開演開演(昼の部 13:30/夜の部 18:00開場)
コンサートホール
人形浄瑠璃 文楽
〈昼の部〉
「二人三番叟」
「絵本太功記」 夕顔棚の段、尼ヶ崎の段
〈夜の部〉
「近頃河原の達引」
四条河原の段、堀川猿廻しの段
【全席指定】
一等 ¥4,500/二等・車椅子 ¥3,000/大向う ¥1,500
昼夜通し 一等 ¥7,000 二等 ¥5,000
一等 ¥4,500/二等・車椅子 ¥3,000/大向う ¥1,500
昼夜通し 一等 ¥7,000 二等 ¥5,000