石川県立音楽堂
オーケストラアンサンブル金沢

第493回定期公演フィルハーモニー・シリーズ

OEKで体験するハイドン演奏の新機軸
  • TEXT / 戸部亮(音楽評論家)

 現代のオーケストラで交響曲、合唱曲といったハイドン作品を取り上げるのは難しい。現代のオーケストラのサイズ、コンサートホールの大きさ、演奏にかかわる時代考証など。楽譜を見れば難しさはあまり感じられないが考えれば考えるほど泥沼にハマっていく。しかも最も究極的なことは、ハイドン作品の演奏でワクワクする体験に巡り合うことが実は少ないことだ。ゆえに聴き手もハイドン作品目当てでコンサートを選ぶことは少ないように思える。

 そんな中でも素晴らしいハイドン演奏はある。切れ味鋭く、楽しさが溢れるハイドンならば、現代ではサイモン・ラトルが指揮するハイドンが絶品だ。

 一方で当時の演奏慣習や楽器などアカデミックな考証を踏まえた古くも新しいハイドン演奏を切り開いた1980年代から90年代のクリストファー・ホグウッド、ニコラウス・アーノンクール、フランス・ブリュッヘンの録音も今こそ見直されるべきハイドンだ。現代基準からすると演奏水準に不足感は確かにある。しかしそれを上回って余りある、音楽的な「間」の取り方、テンポ設定、時に強烈なコントラスト、それらが三者三様の滋味あふれる偉大なハイドンを立ち上がらせる。

 そう、ハイドンは面白いのだ。そして指揮者を選ぶ。ハイドンに選ばれる指揮者はよく研究していて極めて高い知性があり、卓越した音楽センスの持ち主だ。

 今回のOEKは古くも新しいハイドンを作っていった指揮者世代と一緒に仕事をする中でハイドンを研究して、今その成果が十二分に発揮されている指揮者、鈴木秀美が登場。オラトリオ「天地創造」は今、日本で聴ける最高のオーセンティックなハイドンとなろう。

 古楽のスペシャリストの合唱、コーロ・リベロ・クラシコも入り、いい演奏への条件はそろった。天地創造の「光あれ」という歌唱は石川県の、能登の復興の意志が込められるとともに、日本における記念碑的なハイドン演奏への扉を開くものとなるだろう。

5/24
[土]
14:00開演開演(13:00開場)
コンサートホール
第493回定期公演フィルハーモニー・シリーズ
ハイドン演奏の大家 鈴木秀美と奏でるオラトリオ「天地創造」

指揮:鈴木秀美
ソプラノ:中江早希
テノール:谷口洋介
バス:氷見健一郎
合唱:コーロ・リベロ・クラシコ

◯ハイドン/オラトリオ「天地創造」Hob. XXI-2

【全席指定】
SS席6,000円/S席5,000円/A席4,000円/ビスタ席3,000円/スターライト席1,000円/車椅子席5,000円
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