ガルガンチュア音楽祭2025
- TEXT / 潮博恵(音楽ジャーナリスト)
今年のテーマは「世界をつなぐハーモニー」。大阪万博にちなんで5つのミュージック・パビリオンがオープンし、もてなしドーム地下広場では「NOTOパビリオン」が能登を応援するステージを展開。出演も地元のOEKはもちろん、デンマーク国立フィルハーモニー管弦楽団やヴァイオリンの巨匠ピンカス・ズーカーマンから期待の若手まで多彩な顔ぶれが揃う。
「世界」の多様な音楽が会場のあちこちで鳴り響く今年は、それぞれの音楽が異なる背景のもと独自の個性を発揮しながら、全体として見ると一つの「ハーモニー(=調和)」になっていることをぜひ身体で感じていただきたい。だから普段の自分を超えて様々なタイプの公演に足を運ぶことをおすすめする。
ガルガンチュア音楽祭2025
「世界をつなぐハーモニー」
4/27(日)〜5/5(月祝)
石川県立音楽堂/金沢市アートホール/北陸新聞赤羽ホール/北陸エリア
ガルガンチュア音楽祭2025
おすすめその1:ベトナム国立交響楽団

2025年5月4日 [日祝] 16:40〜17:30
C43:エル=バシャ×ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番「皇帝」
共演:アブデル・ラーマン・エル=バシャ(pf), 本名 徹次(指揮)
石川県立音楽堂コンサートホール、ほか3公演に出演。
ベトナム国立響出演の公演
2001年から育まれてきた指揮者・本名徹次とのパートナーシップは度々テレビ番組でも取り上げられてきたが、彼らの実演に接する貴重な機会。ピアノの名手エル=バシャを迎えてベートーヴェンの「皇帝」などの王道プログラム、映画音楽特集と公演ごとに趣向がガラリと変るのも楽しい。さらに同楽団は、作曲家自身の指揮による佐藤眞「土の歌」の合唱の公演でも大活躍する。
また千年の歴史を持つ一絃琴(ダン・パウ)の独奏が加わるベトナム音楽のプログラムも大注目。日本の琴とどこが違うのか?琴という楽器がアジア各地で異なる発展を遂げていった歴史的側面や、伝統楽器とオーケストラをどのように融合させているかという観点からも興味深い。
おすすめその2:東京楽所(雅楽)

2025年5月3日 [土祝] 14:00〜14:50
共演:野原 耕二(音楽プロデューサー)、廣田 真希(Vn)
石川県立音楽堂邦楽ホール
今雅楽がアツい!というのも、エミー賞受章などで話題になった真田広之主演のドラマ「SHOGUN 将軍」の音楽で雅楽のサウンドが印象的に用いられ、その宇宙的な響きが多くの人を魅了したからだ。だから今雅楽を生で体験できることは実にタイムリー。
公演はトークや雅楽にヴァイオリンがコラボする曲の世界初演もあって盛りだくさん。ちょうどWebの「ほぼ日刊イトイ新聞」でも雅楽のどこが面白いのかについて特集していたし、尺八奏者・中村明一の著書「日本音楽の構造」(アルテスパブリッシング)でも日本の伝統音楽が持つ目から鱗の特徴が紹介されている。よって事前にこれらの情報をチェックしておけば、公演を10倍楽しめることうけ合いだ。
「ほぼ日刊イトイ新聞」雅楽特集

東京楽所(雅楽)
ベトナム国立交響楽団
共演:アブデル・ラーマン・エル=バシャ(pf), 本名 徹次(指揮)