第482回定期公演 フィルハーモニー・シリーズ
これもアメリカあれもアメリカ
- TEXT / 渡辺和(音楽ジャーナリスト)
世界中から移民が集まるアメリカ合衆国には、様々な音楽が流れている。パーマネント・コンダクター川瀬がズラリと並べたのは、そんなアメリカの多様性だ。
まずは、クラシック音楽作曲など商売にならぬと生涯アマチュアを貫いた異才中の異才アイヴス。最弱音の弦楽合奏を背景に、トランペットの問いに4つの管楽器が勝手に応じ、議論にならずに終わってしまう。「コミュニケーションの不毛」の先取りは、1世紀以上昔とは思えぬ新鮮さだ。
古き良きアメリカを代表する作曲家コープランドがバレエ曲として創作した《アパラチアの春》は、最もストレートにアメリカな音楽。題名からアメリカ東海岸に聳える山脈の自然描写と思われそうだが、描かれるのは新大陸初期植民者の様子だ。管楽器がソロを吹き、ピアノが活躍する小規模管弦楽が奏でる賛美歌「シンプル・ギフト」に、過酷な自然の中で宗教や隣人愛に支えられつつ生きる素朴なアメリカを感じよう。
そして、誰もが知る《新世界から》。オーストリア帝国田舎で大真面目にクラシック音楽に向き合ったドヴォルザークのアメリカ感想文は、摩天楼を眺めるような壮大な響きの彼方に、アイヴス同様に質問の答えを待つように終わる。
7/6
[土]
14:00開演開演(13:00開場)
コンサートホール
第482回定期公演 フィルハーモニー・シリーズ
指揮:川瀬賢太郎(OEKパーマネント・コンダクター)
アイヴズ/答えのない質問
コープランド/「アパラチアの春」組曲
ドヴォルザーク/交響曲 第9番 ホ短調「新世界より」
【全席指定】 SS席 ¥7,000/S席 ¥6,000/A席 ¥5,000/B席 ¥3,000/スターライト席 ¥1,500