石川県立音楽堂
オーケストラアンサンブル金沢

【Concert Report】第484回定期公演フィルハーモニー・シリーズ②

  • TEXT / 奥田佳道(音楽評論家)

シーズン開幕を寿ぐベートーヴェン・プログラム。鮮烈この上ない「プロメテウスの創造物」序曲から、広上淳一とオーケストラ・アンサンブル金沢は、高度にプロフェッショナルな蜜月を披露したのではないか。

素晴らしい。広上がOEKのアーティスティック・リーダーに就任して3年。この愛すべき指揮者は、多士済々なメンバーの技、覇気を促す。踊っているように見えて、実は経過句的なパッセージやハーモニーの移ろいに意を払い、フレーズの頂点や「句読点」をくっきりと視覚化する。そんな変幻自在なタクトと呼応するOEKの妙技を満喫した。響きが以前にもまして明晰になった。奥行き、広がりを感じさせるようになった。このコンビ、まさに相思相愛だが、慣れあっている風情はなく、好ましい距離感、緊張感を保った上で音楽の「旅」を続けているようである。

演奏と創作の両輪で魔境を奏でる鬼才ファジル・サイに、掛け値なしの大喝采が送られた。ベートーヴェンの新機軸も聴きどころとなるピアノ協奏曲第3番ハ短調。サイが紡ぐ、ホール空間をさ迷うかのような妖しい音色(ねいろ)を察知した広上とOEKにも拍手を。響きの行方を確かめるべく、サイと広上が同じ方向を見つめ、微笑みあう場面が何度もあった。サイは、ファンの願いをかなえるかのように自作「ブラック・アース」を弾く。特殊奏法が特殊にならない深遠な音楽。

広上とOEKは、管弦、ティンパニもときに主役を演じる交響曲第4番変ロ長調が、コンサートのメインディッシュになることを証明した。緩急楽想の絶妙な転換、木管楽器、ティンパニの各「ソロ」に酔った。

9/17
[火]
19:00開演開演(18:00開場)
コンサートホール
第484回定期公演フィルハーモニー・シリーズ

〇広上淳一(指揮/OEKアーティスティック・リーダー)
〇ファジル・サイ(ピアノ)

ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲 作品43
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 作品37
ベートーヴェン/交響曲 第4番 変ロ長調 作品60

【全席指定】SS席 7,000円/S席 6,000円/A席 5,000円/ビスタ席 3,000円/スターライト席 1,500円/車椅子席 6,000円
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