躍動するマエストロ広上淳一が生気に満ちた指揮でOEKを導く
- TEXT / 高山直也(音楽評論家)
第492回定期公演マイスター・シリーズ
18世紀後半から19世紀前半にかけてウィーンを中心に創作活動を行った、古典派の代表的なハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン。同地で活躍した作曲家を総称してウィーン古典派と呼ぶが、当時、産業革命や フランス革命の影響を受け、それまで王侯貴族の楽しみであった音楽が市民社会へと広 がりをみせる時代でもあった。また、18世紀中頃に大バッハの子息エマヌエル・バッハが 「音楽家が聴き手の感情を動かすには、音楽家自身も感情を動かされなければならない」と説き、マンハイム楽派の多感様式などと相まってウィーン古典派へと結実。第492回定期公演マイスター・シリーズでは、音楽史に燦然と輝く、ウィーン古典派を代表するこの3人の大作曲家を取り上げる。
まずモーツァルトの歌劇《フィガロの結婚》と同時期に作曲され、同作の序曲に比肩する「《劇場支配人》序曲」。同作曲家らしい明晰かつ簡潔な古典派の様式美をもつ一曲で、序曲の魅力が堪能できる。次に、ハイドンの「協奏交響曲」では、現在および次世代の主力となるOEK楽団員4名がソリストとして登壇。客員コンサートマスターの水谷晃をはじめ、植木昭雄(首席チェロ)、橋爪惠梨香 (オーボエ)、金田直道(ファゴット)らによる4つの独奏楽器が華やかな演奏を繰り広げる。さらに彼らの親密なやりとりにも注目。そし てこの日のメインは、ワーグナーが“舞踏の聖化”と呼び、リストが“リズムの神化”と評した ベートーヴェンの「交響曲第7番」。躍動するマエストロ広上淳一が、生気に満ちた指揮で OEKを導くに違いない。同作曲家は、広上がOEKでの主軸としており、本作をどう深掘りするかにも期待がかかる。
アーティスティック・リーダー広上のもと、今後のOEKを牽引する楽団員にスポットライトを当てた本公演。早春にふさわしいOEKの新しい風を感じたい。
◯モーツァルト/《劇場支配人》序曲 K. 486
◯ハイドン/協奏交響曲 変ロ長調 Hob. I-105
◯ベートーヴェン/交響曲 第7番 イ長調 作品92
・一般発売日:2024年12月20日 10:00
・未就学児入場不可
・25歳以下公演前日より半額で予約可(購入時要証明書類)
・公演予定時間: 約100分