石川県立音楽堂
オーケストラアンサンブル金沢

プロコフィエフとストラヴィンスキー、若きマエストロが臨む新境地

第498回定期公演フィルハーモニー・シリーズ
  • TEXT / 寺西肇(音楽ジャーナリスト)

OEKの2024/25年シーズン定期公演の掉尾を飾るステージに、フランスの俊英指揮者ピエール・デュムソーが降臨。共にロシア出身で、20世紀前半の楽壇に旋風を巻き起こした2人の作曲家、プロコフィエフとストラヴィンスキーの佳品を中心に披露する。これまでに2度、OEKの定期に登場し、いずれも故国フランスの作品を取り上げて、緻密かつ色彩感ある秀演を展開し、聴衆を魅了したでデュムソー。今回、取り上げる2作品も、実はパリに深い関わりがある。若きマエストロが臨む新境地。聴き逃す訳にはいかないだろう。

20世紀に書かれたピアノ協奏曲の中にあって、卓越した傑作と称えられるプロコフィエフの「ピアノ協奏曲第3番」は、1921年に演奏旅行先のパリで完成。当時、隆盛を迎えつつあった「新古典主義」を反映し、対位法的な作曲技巧が目立つ一方、抒情性や故国ロシアの民俗性も随所に聴き取れる。今回、この傑作にソリストとして対峙するのが、2019年にロン=ティボー2位、21年にエリザベート3位と難関コンクールで次々に入賞を重ね、今や国際的に活躍する務川慧悟。作品ごとに相応しい音色を与え、新たな生命を与える気鋭のピアニストは、「初演時もかくや」という瑞々しい音楽を聴かせてくれるはずだ。

一方、ストラヴィンスキーのバレエ音楽《火の鳥》は1910年、バレエ・リュス(ロシア舞踊団)からの依頼で書かれ、パリ・オペラ座で初演。火の鳥から力を得た王子イワンをめぐる、ロシアの古い冒険譚を題材に織り上げられる、鮮烈な音のタペストリーだ。バレエを伴わない組曲版は3種があるが、今回取り上げられるのは、最も演奏機会の多い1919年版。さらに、デュムソー十八番のフランス作品、グノーの歌劇《ファウスト》からのバレエ音楽が“前菜”として添えられる。常に、音楽の最先端を走って来たパリ。そして、同地から“音の使者”としてやって来た、若きマエストロ。文化都市の息吹が、リアルに感じ取れるステージともなりそうだ。

2023年1月28日 第463回マイスター・シリーズより

10/24
[金]
19:00開演開演(18:00開場)
コンサートホール
第498回定期公演フィルハーモニー・シリーズ
神を細部に宿すデュムソーの火の鳥。務川慧悟のプロコフィエフ。

〇指揮:ピエール・デュムソー
〇ピアノ:務川慧悟
グノー/歌劇「ファウスト」より バレエ音楽
プロコフィエフ/ピアノ 協奏曲 第3番 ハ長調 作品26
ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)

【全席指定」SS7,000円/S6,000円/A5,000円/ビスタ3,000円/スターライト1,500円/車椅子席6,000円
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