「萬斎のDENGEIラボ」 邯鄲―KANTAN―
野村萬斎さん・インタビュー
- TEXT / KADENZA編集部
ハムレットと芥川の要素も加わった
まったく新しい「邯鄲(かんたん)」に注目
萬斎「主人公の廬生もハムレットも一生をどう生きるのかと思い悩むという意味では共通したものを持つ二人。今回は、ハムレットでおなじみの台詞から始めてみようと思います」
夢に登場する宮廷のシーンでは狂言「唐人相撲」(日本人力士が唐の皇帝と相撲をとる)の要素を加えた華やかな演出を試みる。今回の舞台は邦楽ホール。これまで以上に演劇的な見せ方も意識しているという。
さらに、「邯鄲」と同じく中国の古典「枕中記」に想を得た芥川龍之介の短編「黄粱夢」も取り入れる。
萬斎「若い人には夢を見ることは大事なんだという希望を与え、年齢を重ねた人には、若い頃に思い描いていた夢を思い返し、現実を思う時間になるのでは」
ハムレット&邯鄲&芥川。まったく新しい組み合わせのようだが実は共通項の多い3つが、今回初めて一つになる。廬生を演じるのは前回の「平家物語」に引き続き、観世流能楽師の片山九郎右衛門さん。
萬斎「要となる栄華の光景と、夢が覚める落差を魅力的に表現してくれることに期待したいですね」

能「邯鄲」あらすじ
人生に迷い、悟りを得ようと旅する青年・廬生が、旅先の宿主に一生を夢見るという仙人の枕を貸し出され、粟のごはんが炊きあがるまでひと眠りすることに。すると寝ている廬生を起こしに皇帝の使いがやってくる。やがて廬生は皇帝となり、栄華をほしいままにする。在位50年の祝宴の途中で、宿主から「粟のごはんが炊けた」と起こされた廬生は目を覚まし、すべてが夢であったことに気づく。
6/21
[土]
13:00/17:00開演開演(12:30/16:30開場)
邦楽ホール
「萬斎のDENGEIラボ」 邯鄲―KANTAN―
シテ盧生:片山九郎右衛門
宿の主:野村萬斎
青 年:野村裕基 ほか
笛:江野 泉
小鼓:成田達志
大鼓:飯嶋六ノ佐
太鼓:前川光範
胡弓:村澤丈児