オーケストラ・アンサンブル金沢 定期公演
2026-2027シーズンの開幕を告げる2公演!
- TEXT / 寺西肇(音楽ジャーナリスト)
新たなシーズンの幕開けを告げる第499回定期公演マイスター・シリーズは、さながら“真バロック”と“新バロック”の対決だ。プログラム冒頭に置かれたのは、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集「四季」。OEK第1コンサートマスターを務めるアビゲイル・ヤングがソリストとしてアンサンブルを率い、わが国を代表するチェンバロの名手・曽根麻矢子を通奏低音に迎えて、“赤毛の司祭”とも称された18世紀イタリアの巨匠が描き上げた「音の絵画」へ新たなる色彩を与えてゆく。
そんな「四季」を“真バロック”の傑作と位置付けるなら、プログラムの最後に据えられた「プルチネルラ」組曲は、“新バロック”と言えようか。20世紀の鬼才ストラヴィンスキーが、18世紀イタリアの夭折の天才ペルゴレージの作品などに材を採って仕立てた、管弦楽のための愉しい組曲は疑似バロック風。管弦の個々の楽器が、ソリスティックなフレーズを任される場面も数多く、魅力的で親しみやすい旋律に満ちている。昨年からOEKパーマネント・コンダクターに就任した松井慶太による、繊細かつ軽妙な音楽創りが期待できよう。
かたや、やはり松井のタクトで披露される2つの作品では、“悼み”が共鳴する。20代半ばだった武満徹が、親交の深かった作曲家・早坂文雄の逝去を受け、自身も死と向き合いつつしたためた「弦楽のためのレクイエム」。胸に忍び寄って来るような、静謐なる魂の慟哭だ。さらに、死を「善良で忠実な友人」と呼び、「最も平和で慰めに満ちたもの」と綴ったモーツァルト。30歳を前に書いた「フリーメイソンのための葬送音楽の重苦しく、悲しみに満ちた音楽は、最後のコードでいきなり、天上の輝きのごとく明転する。そして、これら2曲はまた、生の歓びを謳歌するかのような「四季」や「プルチネルラ」とも、鮮烈な対比を成す。
300年の時を超えた四季を、色彩豊かな金沢で聴く
出演者:
松井 慶太(OEKパーマネント・コンダクター)
アビゲイル・ヤング(リーダー&ヴァイオリン)
曽根 麻矢子(チェンバロ)
オーケストラ・アンサンブル金沢メンバー(弦楽五重奏)
演奏曲目:
ヴィヴァルディ/四季(全曲)(※アビゲイル・ヤングのリーダーで演奏[指揮なし])
武満徹/弦楽のためのレクイエム(1957)
モーツァルト/フリーメイソンのための葬送音楽 ハ短調 K.477
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「プルチネルラ」組曲
