ガルガンチュア音楽祭2026
音楽祭は今や人を呼び込む絶好の仕掛け。ゴールデンウィーク、夏季休暇を利用した音楽祭は日本各地で定番化した。そのような中、仕掛けを差別化させて、ユニークな舞台とするにはどうするか。音楽祭が選ばれるポイント、それはオリジナリティを作り込めるかだ。日本有数の歴史と伝統ある都市、金沢での開催それをベースにさらにプラスアルファで独自性を加えられるか。それがポイントになるが、今年もガルガンチュア音楽祭は作り込んでいる。 池辺晋一郎、広上淳一、オーケストラアンサンブル金沢といった「地元勢」を基軸に国内外、若手からヴェテラン、さらにはクラシック以外にもスコープを広げる顔ぶれと公演。他にはないオリジナリティがある。あらゆる人が面白いと思えるパフォーミング・アーツとは何たるかものか、それを楽しく実感できる場。今年のGWも北陸・金沢はおもしろい。
- TEXT / 戸部亮(音楽評論家)
01 ヴァイオリンの巨匠 ギドン・クレーメルのいまを聴く
C43 5/4 16:40-17:30 音楽堂コンサートホール「クレーメル×バーンスタイン」

ギドン・クレーメル、彼のことを20世紀後半を代表するヴァイオリニストと誰もが認める。代表的なバーンスタインとウィーン・フィルと共演したブラームスの協奏曲。バーンスタイン庇護の下、クレーメルは因習と距離を置き、自らが考える作品像をプレゼンテーションする鬼才ぶりを発揮した。
時が経た。今度は20世紀を代表する作曲家を直接知るクレーメルが作曲家バーンスタイン像を知らしめる。
弦楽器奏者の宿命として「老い」によって壮年期の輝かしさは過去の遺物となる。それを懐かしむのもいい。しかし真のマスターは年齢に関係なく作品の本質を我々に伝える。それがクレーメルの今の至芸だ。
02 名アリアが一堂に集結!音楽祭のフィナーレは歌合戦
C54 5/5 19:45-21:00音楽堂コンサートホール「クロージングコンサート/オペラアリア紅白歌合戦」

5月3日「ミュンヘンのマイスタージンガー達!」、4日金沢市アートホールでの「日本人トップ歌手たちのオペラの共演」や「トスカ」(ハイライト)等とセットで聴いてもらいたい。出演する日本の歌手たちの顔ぶれを見てほしい。一見してわかるように、いま日本で旬真っ盛りの歌手たちが今回、金沢に集っている。今や日本人歌手のトップレヴェルは極めて高水準。本場に十分に対抗できるくらいだ。
海外からの歌手も交えて締め公演は「紅白歌合戦」。豪華なアリアのつまみ食いを旬な歌手でどうぞ。
03 彗星の如く現れた天才トランぺッターが金沢初登場
H42 5/4 12:40-13:30 音楽堂邦楽ホール「児玉隼人×ハイドン トランペット協奏曲」

今年のガルガンチュア音楽祭ではトランペットの児玉隼人は絶対に聞いておいてほしい。2009年北海道釧路市生まれ。周縁から出てきた天才トランぺッターはすでに大活躍。評価も加速度がついて高まっている。今は怖いものなしで道を進んでいるだろう。本当の意味での「恐れ」もないだろう。だからこそそういう時期に必ず聴いておきたい。必ずや成長の過程で児玉のトランペットも変化していくだろうから。
児玉が吹くのはずっと携えていくだろう名曲の一つ、ハイドン「トランペット協奏曲」。それをガルガンチュア音楽祭の顔、広上淳一とオーケストラアンサンブル金沢と取り上げる。この公演は長く児玉と、音楽と伴走する我々にとって外せない。


