小曽根 真 インタビュー
- PHOTO / ©Matsuki Kohei
演奏を共にする卓越した”パートナー”壷阪健登と紡ぐ至福の時間
One Man Orchestra と呼ばれるピアノ。他の楽器での「全編ソロ」というコンサートはとても稀だけれど、ピアノソロ・コンサートという文字を目にすることは(特にクラシックの世界では)珍しくない。それだけ一人でも「完成」された音楽を奏でることができる楽器だけれど、これが二人同時に演奏するとなると他の楽器にはありえない課題が生まれる。クラシック音楽のように素晴らしいコンポーザー達が2台のピアノを使ってのハーモニーや音量を考慮して書き上げた楽譜があっても2人同時に一つの音楽を演奏するのには苦労するのに、ジャズはそのバランスのとれた響きを即興で創らなくてはならないわけだから、そこではピアニストとしての技術よりもむしろ作曲家としての実力を問われることになる。具体的に説明するならば、次々と目の前で生まれてくる音楽を瞬時に聞き取って二人で一つの響きを創り、更にその音から相方の気持ちや想いまで感じ取って次の音を想像しながら物語を紡いでいく。こんな風に書くと相当大変なことをやっているように聞こえるが、実はこれが素晴らしいパートナーにさえ出会えれば最高に至福の時間となる。

僕にとって壷阪健登という音楽家はその一人。彼の持つ音楽を「聴く」力がずば抜けて素晴らしい事は当然ながら、彼の指先から次から次へと即興で紡ぎ出される物語の深さとその美しさに、もっと色んな事を表現したいとこちらが触発される。この会話を生でご覧になったら、きっと会場の皆さんも僕らと同じ「至福」を感じて頂けるだろう。この二つの魂が音楽を通して一つになって皆さんと生きている喜びを分かち合う時間が待ち遠しい。
小曽根 真!!!
Towards a New Stage~新しいステージへ~
○ピアノ:小曽根 真、壷阪健登
G.ガーシュイン/ラプソディ―・イン・ブルー(2台ピアノ版) ほか