石川県立音楽堂
オーケストラアンサンブル金沢

石川の皆さんが未来に向かって歩いていく力になりたい 

  • 撮影協力 / 創作漆器わこう「朱の合鹿椀」/杉野屋与作「子持ちいか 数の子」

本番がある日の朝はお米を食べることが多いです。歌舞伎公演は朝から晩まであって、間に全然食べられない時もあるんですよね。この杉野屋与作さんの子持ちいか(数の子)は非常にご飯に合いますね! いかめしの発想なんだと思いますが、中身が数の子っていうのが洒落ているし、イカのやわらかさと、数の子の歯ごたえがとても良くて、北陸の食べ物だなぁという感じがします。ご飯にとても合うので、お酒のつまみだけでは勿体ない。朝ご飯としてもいけるし、歯ごたえが楽しいのでお子さんも喜びそうです。
 
輪島塗の器は、光沢と感触が他の塗りとはちがうなと思います。意外とすべすべしていますね。この色味の深さが印象的です。赤と黒は、日本文化にとって重要で、僕たちも赤は化粧で特に多用する色です。赤の鮮明度で役柄や印象がすごく変わるので興味を惹かれます。たとえば若い少女の役、年を取った役、妖艶な役など、赤の色を変えていきます。そういう意味で注目してしまう色ですね。
 
小学校の時に、踊りの公演で訪れた際、祖父と兼六園を一緒に歩いた思い出があります。豪雪の2月で、雪をまとった兼六園は綺麗だったなというのを覚えています。以来、何度も石川県には来させていただいています。
 
気に入っている場所は音楽堂邦楽ホール(笑)!アクセスの良さは格別です。そして今回初めてコンサートホールに出演させていただきましたが、最初まるで違う国に来たようだなと感じました。歌舞伎は平面で演出を考える二次元の世界なので、今回萬斎さんがオルガンバルコニーを利用するなど奥行きのある表現で舞台を立体的に魅せたところに面白さを感じました。そしてやはり音が良い! リハの時から、その場で聞こえてくる音の強さはもちろんのこと、低音が身体の深いところまで響いてくるのを感じ取り、踊りも変えていきました。楽譜あってのオーケストラの音楽ですが、楽譜には書かれていない音の余韻ですとか、楽譜のその先にあるものを感じ取って踊るという、ただ音楽に合わせて踊るだけではない表現がコンサートホールでは出来たように思います。
 
伝統文化はなかなか担い手が少なくなってきている中で、一体何を残して何を進化させていくかという所をいつも考えさせられています。僕たちは様々な局面で傷ついた方々をちょっとでも勇気づけられるように、精一杯舞台を務めることが仕事ですから、そういう意味でこの時期に石川県に来させていただけたことを、ひとつのご縁として、皆様の力になれることに繋げたいという思いを持っています。

PROFILE
中村壱太郎 ( なかむら かずたろう)

中村鴈治郎の長男。祖父は四世・坂田藤十郎。
母は吾妻徳穂。慶應義塾大学総合政策学部卒業。
1991年京都・南座『廓文章』の藤屋手代で初お目見得。
95年大阪・中座『嫗山姥』の一子公時で初代中村壱太郎を名のり初舞台。
2014年日本舞踊の吾妻流七代目家元・吾妻徳陽を襲名。
女方を中心に歌舞伎の舞台に精進しつつラジオやテレビなどにも活動の場を広げている。
12年 芸術祭新人賞、咲くやこの花賞、16年 大阪文化祭賞 奨励賞、
19年 第40回松尾芸能賞 演劇部門 新人賞など受賞多数。
24年2月「 萬斎のおもちゃ箱」に出演。

SHOP INFO
創作漆器わこう 百番街あんと店(器(輪島塗)「朱の合鹿椀」)

石川県金沢市木ノ新保町1-1
TEL 076-260-3775
〈営業時間〉8:30~20:00
〈定 休 日〉不定休(金沢百番街と同じ)

SHOP INFO
杉野屋与作 金沢百番街店(海鮮丼「能登の海鮮づけ丼」)

石川県金沢市木ノ新保町1-1
TEL 076-260-3763
〈営業時間〉8:30~20:00
〈定 休 日〉不定休(金沢百番街と同じ)

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TICKET
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石川県立音楽堂チケットボックス
(石川県立音楽堂1F)

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